2009年7月某日、東京・代官山にある5pb.の社屋において、現在テレビ東京などで放送中のTVアニメ「アラド戦記~スラップアップパーティー~」の新オープニングテーマ「塞塵(そくじん)のパンドラ」を歌唱する、声優・野川さくらさんへのインタビューを行った。
「アラド戦記~スラップアップパーティー~」は、ネクソンが運営するMMORPG『アラド戦記』をモチーフとしたTVアニメ作品。鬼化してしまった片腕を治すために旅をする主人公・バロンを中心に、壮大な旅の模様が描かれる。
TVアニメ「アラド戦記」の新オープニングテーマ「塞塵のパンドラ」を歌う野川さくらさんは、本作に登場するメインキャラクタのひとりである「リュンメイ・ランカ」を演じているほか、第1期のオープニングテーマ「PARTY PLAY」のボーカルも担当している。
ここでは、前オープニングテーマ「PARTY PLAY」の反響や、新オープニングテーマ「塞塵のパンドラ」を収録した際のエピソードなどを野川さんにお聞きしたので、お届けしていこう。
――では、まず新オープニングテーマ「塞塵のパンドラ」について伺う前に、前OPテーマである「PARTY PLAY」について聞かせてください。
★野川さくらさん
「PARTY PLAY」という楽曲に出会ったのは、昨年です。TVアニメ「アラド戦記」制作発表の際に、私がヒロイン「リュンメイ・ランカ」と、オープニングテーマを担当するということが発表されました。
「PARTY PLAY」や「塞塵のパンドラ」を手掛ける志倉千代丸さんの楽曲をお届けしたのは、野川さくらとしては、昨年リリースしたベストアルバム「さくらのうた」に収録されている「星のキャンバス」という曲が最初だったんです。その「星のキャンバス」とほぼ同じ時期に収録していたのが「PARTY PLAY」なんですよ。昨年の秋から、TV番組「アニメ天国」で千代丸さんと司会を担当させていただくようになってから、現在に至るまで、沢山の曲を作っていただきました。
――「PARTY PLAY」の反響はいかがでしたか?
★野川さくらさん
「PARTY PLAY」を初めてファンの方に披露したのが、昨年開催されたライブイベント「Live 5pb.」だったんです。そのときは、生バンドの演奏ですごくカッコイイ中で歌わせていただきました。
でも実は、「PARTY PLAY」のCDが発売されるまで、初披露から約半年近く間があったんです。発売までの間にソロライブツアーをやっていく中で、ファンの方から「早くCDで聴きたい」「どんなアニメになるんだろう」という期待感が高まっていたと思います。CD発売の際に行った握手会などで、ファンの方から色んな感想を頂きました。
――「PARTY PLAY」は韓国語バージョンも歌われたとか。
★野川さくらさん
はい、歌わせていただきました。韓国でも同じように「アラド戦記」のアニメが放送されることが決まっていたんです。そんな中、番組の顔となるオープニングテーマを歌わせていただける。それなら、韓国のファンの方にもしっかり届く形で歌を聴いてもらえたら嬉しいという想いがあって、日本語バージョンだけではなく、韓国バージョンも収録することになりました。
実際にこの曲が完成して、韓国の人たちに聴いてもらえるのかな、という不安が発売前まではあったんです。でも日本で行ったキャンペーンには、韓国から来てくださったファンの方や、日本にいらしている韓国の方も訪れてくれました。今まで多くの曲を歌ってきましたが、この韓国語バージョンを歌ったことによって、新たなコミュニケーションを取るきっかけや、感動を与えられたのかなと感じます。
そして、ライブを重ねるごとに曲の完成度が上がっていって、私のオリジナル楽曲の中では1番かっこよくて盛り上がる、そんな楽曲になったと思っています。
――その人気を踏まえて、新たに登場するオープニングテーマ「塞塵(そくじん)のパンドラ」を、野川さんが歌うと決まったのはいつ頃ですか?
★野川さくらさん
「アラド戦記」は半年続くアニメということで、「もしかしたらオープニングが変わるかもしれないよ」という話をされていたんです。この時はまだ確定ではなかったんですけど、変わるのであれば次もぜひ歌いたいと思っていたんです。なので、「次のオープニングテーマもお願いします」と言われた時はすごく嬉しかったですね。
――「塞塵のパンドラ」という変わったタイトルですが、どういった意味が込められているのでしょうか?
★野川さくらさん
タイトルにある“塞塵”という言葉は、千代丸さんの造語なんです。千代丸さんとは番組を一緒にやらせていただいているので、「今、頑張って作っているよ」とか「すごいかっこいい曲ができたよ」とか、楽曲の製作過程を伺っていたんです。曲のタイトルを実際に見て「なんて読むんだろう」と思いましたね(笑)。この言葉について千代丸さんに聞いたら、「塵のような砂漠の中で、砂嵐が起きている感じの雰囲気を表したかったけど、当てはまる言葉が無いからこの言葉を作った」と教えてくれました。
あと、「PARTY PLAY」と「塞塵のパンドラ」の2曲は、歌詞の世界観がストーリーとして繋がっていると思っているんです。「PARTY PLAY」では、それぞれが暮らしていたキャラクタたちが出会い、お互いが持つ過去の辛さを克服していったり、一緒に冒険をしていく中で、友情や絆を深めていくという思いを歌っています。
そんな仲間たちとの絆を深めた上で、開けてはいけない“パンドラの箱”を仲間たちと開けて、物語の先へ突き進んでいくというイメージで千代丸さんが「塞塵のパンドラ」というタイトルを付けたそうです。
――「PARTY PLAY」から繋がりを感じるという「塞塵のパンドラ」ですが、“塞塵”という言葉を初め見たときの印象はいかがでしたか?
★野川さくらさん
印象としては、「コンクリートのような重い感じのもの」を想像しましたね。今まで歌ってきた楽曲中には、こういった感じのタイトルはなかったので、馴染むまで時間がかかりました(笑)。
――「塞塵のパンドラ」の楽曲を実際に聴いた時、想像していたものと重なりましたか?
★野川さくらさん
重い感じのサウンドと想像していたので、その点では当てはまっているかなとは思います。あと、私は声優の桃井はるこさんと仲良しなんですけど、その桃井さんが千代丸さんの楽曲を「すごく良い楽曲だね」と言うときに“ちよまってる”と表現するんですよ。それで、「PARTY PLAY」の時も千代丸さんが「すごい良い曲ができた!」と仰って下さるくらい“ちよまってる”サウンドだなと私も思ってたんですけど、それを上回るのが今回の「塞塵のパンドラ」ですね。
それを踏まえた上で、この難しい曲をちゃんと自分の歌としてレコーディングできるかなというプレッシャーはありましたね。なのですごく練習しました。
――その“ちよまってる”という「塞塵のパンドラ」の歌詞などで気に入っている所はありますか?
★野川さくらさん
「塞塵のパンドラ」は、とにかくメロディーラインがすごく綺麗で不思議な感じなんです。詞で気に入っている部分は、1番のサビの「数え切れない涙の記憶も 背きたい真実も 本当の笑顔の為に ここにあって それをいつしか「強さ」と呼べたら 明確な絆へと変わるよ」というフレーズですね。お互いに励まし合い、絆を深めていくことが強さに繋がっていくような、作品のエピソードにもリンクするような歌詞なんです。
人生色々ある中で、悲しい時でもいつか嬉しいことが待っているという、背中を押してあげられるようなフレーズだと私は思っています。
――「塞塵のパンドラ」のレコーディングはいかがでしたか?
★野川さくらさん
レコーディングは、とても楽しかったです。収録は「PARTY PLAY」が発売されて少したってからだったので、レコーディングスタジオに行った時に「PARTY PLAY」のポスターが飾ってあるのを見てすごくテンションが上がりましたね! いい感じでレコーディングに挑むことができました。
――前回のカップリング曲は「PARTY PLAY」の韓国語バージョンが収録されていましたが、今回の「Crazy on the dream」は、どのような曲なのでしょうか?
★野川さくらさん
実際に、この曲を初めて聴いたのが「PARTY PLAY」の発売記念キャンペーンで大阪に行った時だったんです。今回のカップリング曲はオリジナル曲になると聞いていたので、すごく楽しみにしていました。曲を聴いた時の印象は、ロック系のかっこいい感じの歌だなと感じましたね。
今回のカップリング曲の作詞をしてくださっているのは、女性シンガーの松澤由美さんという方なんです。松澤さんはアニメソングをたくさん歌っていらっしゃって、私が声優を目指していた頃に聴いていた楽曲も歌っていた方なんです。そういった縁のある方が、私の楽曲を手掛けてくださるとは思ってもいなかったので、本当に嬉しかったです。
――「Crazy on the dream」の歌詞で気に入っている所はありますか?
★野川さくらさん
「一緒に頑張ろうよ!」という感じの応援ソングという、『アラド戦記』ファンの人が聴いても素直に受け止めてもらえるような曲だと思っています。私自身が色んな楽曲を歌っていく中で、みんなを応援してあげられる楽曲をたくさん歌いたいと思っていたんです。そういう曲が一番みんなの心に響いていると経験上思いますし、同じように声優を目指しているファンの方がたくさんいると伺っていたので、そういう方たちにも「自分も頑張ろう」と思っていただけるような、この楽曲が大好きですね。
あと、サビの後半で伸びやかに歌えるようなフレーズがあるんです。聴いていて心地良いと思えるその歌声を、みなさんに聴いてもらえたら嬉しいなと思います。
――今回のジャケットは、今までに見たことのないような感じになるそうですね。
★野川さくらさん
今回はコンセプトとして、今までに見せたことのないような表情を出そうというのが一番にあったんです。そこで、新たなメイクをやってみようということで、「ファッションメイク」というモデルの方がするようなメイクに挑戦しました。実際に出来上がったものを見たら、“エロカッコイイ”という印象です(笑)。そちらも楽しみにしていてください。
――では最後に、「塞塵のパンドラ」を待つファンのみなさんにメッセージをお願いします。
★野川さくらさん
「塞塵のパンドラ」という新曲をみなさんにお届けできることを、とても嬉しく思っています。本当にかっこいい曲なので、CDを手にとって聴いて、ぜひカラオケなどでも歌ってください。「塞塵のパンドラ」発売記念キャンペーンのほかにも、8月下旬には沖縄でライブをやったりと、音楽で溢れた夏を過ごせそうです。みなさんも一緒にアツイ夏を過ごしましょう!
――ありがとうございました。
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