昨年の東京ゲームショウ2008を皮切りに,4Gamerでも取り扱いを始めたコンシューマゲーム。今回は,そんなコンシューマゲーム機市場の動向を,4Gamer読者を通して分析してみよう。
上記のグラフは,2007年末~2008年末にかけての,4Gamer読者のゲーム機の所持率の推移を表したものだ。据え置き機,携帯ゲーム機を問わず,それぞれが順調にシェアを伸ばしていることが分かるわけだが,Xbox 360の比率が妙に多いのは,いわゆる洋ゲーファンを多数抱える4Gamer読者ならではの傾向といったところ。
注目したいのは,ニンテンドーDS(以下,NDS)の伸び率が鈍化している一方で,ライバルであるプレイステーション・ポータブル(以下,PSP)が大きくシェアを伸ばしている点だ。PSPといえば,昨年「モンスターハンターポータブル 2nd G」が発売され,今では累計300万本を超える大ヒットを記録したことでも記憶に新しい。昨今,急速にゲーマー向けのタイトルが充実してきていることもあり,非常に勢いづいているのはご存じのとおりだ。
4Gamer読者は,当然ゲーマー層が中心となっているわけだが,今回の調査結果は,PSPがゲーマー層の間で急速にシェアを伸ばしつつある,一つの実例ではあるだろう。
据え置き機に目を向けてみても,PSPと同じソニー・コンピュータエンタテインメント(以下,SCE)が発売しているPLAYSTATION 3が,大きくシェアを伸ばしていることが見て取れる。総じて,SCEプラットフォーム陣営の好調ぶりが伺える内容だといえるだろう。
これは,ゲーム機の所有率と,実際にゲーム機を利用している率,そして利用者数を所有数で割った「稼働率」をそれぞれグラフにしたものだ。据え置き機では,Wiiの稼働率が低いこと,携帯ゲーム機では,PSPの稼働率が高いことなどが分かる。
なかでもとくに目を引くのは,Wiiの稼働率の低さだろうか。所持している数こそ据え置き機ではトップのWiiが,実際に利用している数では最下位になってしまっている。まぁ昨年の11月から年末にかけては,他のハードウェアでゲーマー向けのタイトルが盛り沢山だったこともあり,そちらにプレイヤーが流れてしまったという側面もあるだろうが,任天堂陣営からすれば,長い目で見るとこの傾向はあまり喜ばしい事実ではないだろう。
とはいえWiiには,2009年夏に発売が予定されている「モンスターハンター3(トライ)」という,ゲーマー向けのいわば切り札的タイトルもあり,これがどういう影響をもたらすのか,気になるところだ。
また,各ハードウェアの所有者ごとに絞って,年間の平均ゲーム購入本数も併せて調べてみた。結果は以下のとおりだ。
全機種合わせたゲームの購入本数であり,いわゆる“装着数”ではない点に注意してほしい
結果はなんとなく予想どおりといったところか。据え置き機を持ってる人ほど“ゲーマー度”が高く,カジュアルな層は携帯ゲーム機が中心になっている雰囲気。とくにXbox 360ユーザーのロイヤリティの高さは,注目に値するだろう。
Xbox 360は,販売台数こそ国内では最下位だが,昨今は「テイルズ オブ ヴェスペリア」や「スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-」など,ゲーマーにとって魅力的な国産の大作RPGを引っ提げ,積極的な展開が目立っている。また海外市場では大きなシェアを獲得していることもあり,今後の展開も期待したいところ。「Gears of War 2」をはじめとした海外産の名作タイトルなども,どんどん日本市場に持ち込んでほしい限りだ。
まとめ&オンラインゲーム基礎データ表
ともあれ,前回の分析記事に比べるとタイトル個々の話などがあまり出来ていない気もするが,すでにかなり長くなってしまったので,今回はここまで。タイトルごとのプレイヤー属性を比較した記事なども掲載したいと思っているが,思っているだけで終わってしまったらごめんなさい。
また最後に,現在サービス中のオンラインゲームの中から,任意で選んだタイトルの基礎情報をひとまとめにした表を掲載しておく。昨年とはちょっとだけ変わって,オレンジの部分がMMORPG系,青がFPS系,そして緑色の部分がそれ以外のジャンルのタイトルという区分けだ。
表では,平均年齢,男女比,平均消費金額,そしてPCメモリという,四つの項目を用意。ちなみにPCメモリというのは,ゲーム用PCのメインメモリ量の平均値を表したもので,ゲーム用に使っているPCのスペックの一定の目安になるデータ。平均消費金額というのは,月にオンラインゲームに使う金額を示したもの(そのタイトルに使う金額ではない)である。
冒頭でも述べたとおり,これはあくまでも4Gamer読者というフィルタを通してみた結果であり,このデータがそのままタイトルの正しい属性データであるかどうかはまったく保証できないが,複数のタイトルで同時に比較検討することで,各々のタイトルの傾向や属性は,それなりに正しく把握できるハズ。上記で挙げた分布図と併せて,日本のゲーム市場およびオンラインゲーム市場の傾向を分析する参考にしてもらえれば幸いだ。
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