今回,韓国の開発チームのスタッフに質問をする貴重な機会が得られたので,思い切って,現役のアラド戦記プレイヤーの多くが気にしているであろうことを直接質問してみた。おそらく耳が痛いであろう質問にも答えてもらうことができたので,現役プレイヤーはぜひ読んでほしい。
4Gamer:
“クリーンパッド(※)”について聞かせてください。現在のアラド戦記に導入されている“クリーンパッド”は,本当に必要なものなのでしょうか。比較的マイペースでプレイできるMMORPGなどと違い,アクションゲームであるアラド戦記では,プレイを中断して表示された文字を入力することになるクリーンパッドはかなり煩わしいと感じます。廃止できないにしても,ダンジョンクリア時のみに表示させるなど,プレイを阻害しないように変更することはできませんか。
※ゲーム中に入力ウィンドウが現れ,指定された文字の入力を求められる仕組み。BOTを取り締まるための施策の一つ。
イ・ホジュン氏:
おっしゃる事は大変よくわかります。こちらとしても心苦しいところではありますが,現状ではBOTの検出にとても有効であることは間違いなく,今すぐ削除するのは難しいというのが正直なところです。プレイ中,その日によってクリーンパッドの発生率が違うことにお気づきかもしれませんが,これはBOTの数に応じて毎日発生率を調整しているためです。健全にプレイしていただいているプレイヤーの皆さんにはご迷惑をおかけして申し訳ないのですが,どうかご理解いただきたいと思います。
4Gamer:
しかしながら,クリーンパッド入力中にもゲーム内の時間が流れ続けているのは大きな問題だと思います。ユーザーの間では「入力中にバフや召喚獣など時間制限のあるスキルが切れてしまうことがある」という不満も聞こえてきます。こういった点を踏まえてもクリーンパッドが“是”であるとお考えでしょうか。
イ・ホジュン氏:
そういった点についても把握しております。重ねて申し訳ありません。開発チームでもクリーンパッドが“ベスト”であるとは認識しておらず,現在,新たな不正検出システムを構築中です。この新システム自体はすでにほぼ完成しており,現在は調整の段階に入っています。今後の予定としましては,調整が完了したのち新システムを導入し,効果が確認されたら徐々にクリーンパッド発生率を下方修正し,ゆくゆくは削除する方向で動いていきます。
まだ予定の段階ですのでいつごろクリーンパッドを削除するといったお約束はできませんが,こちらとしては新システムに大きな自信を持っており,導入すれば必ず皆さんにご納得いただけると思っています。今は新システムの構築に全力をあげさせていただきたいので,大変申し訳ないのですが,もうしばらくご辛抱いただければと思います。
4Gamer:
わかりました。成果が上がることを期待しています。では次に,韓国版と日本版のバージョン格差について聞かせてください。これまでは差が開く一方で,大雑把に見ても一年近く,細かい要素を加えるとそれ以上に日本版は遅れています。この差が縮まるのでしょうか。また勢力戦や新ブラックリスト機能,細かいところでは競売場で使用される数字フォントの横幅統一など,日本未実装の要素が今後実装される予定はありますか。
ジョン・スンヨル氏:
今回の“セカンドインパクト”実装で,韓国版と日本版との差は約3か月にまで縮まります。ひとまずはご安心ください。韓国版で起きた不具合を修正してからの実装を目指していたため,時期が遅くなったことをお詫びします。
ローカライズや調整で生じるタイムラグが大きくなってしまっていた理由は,これまで韓国版と日本版の開発チームが完全に別々に動いていたためです。現在は,中国や北米でのサービス展開も踏まえ,今までとは異なるスムーズなローカライズの体勢が整いつつあります。今後は差が縮まることはあっても,開くことはないはずです。未実装要素についても順次実装していきますので,もうしばらくお待ちください。
4Gamer:
ではこちらも楽しみに待たせてもらいます。では最後に「アラド戦記」の今後の展望,予定についてお聞かせください。
イ・ホジュン氏:
これは韓国でも未発表の情報になりますが――アラド戦記は現行のオンラインゲームの中では解像度が低い(640×480)部類に入ります。そのため画面に表示できる情報に限りがあり,チャットログの表示スペースが狭く,コミュニケーションが取りにくいという問題がありました。そこで現在「チャットウィンドウやログを画面の外に出す」という機能の開発を行っています。そのほか,狭いスペースを有効活用すべく,UI関係の表示も改善するよう進めています。
ジョン・スンヨル氏:
アラド戦記は日本でかなり長い期間サービスを続けさせていただき,想定していたより多くの皆さんにプレイしていただいています。「韓国や中国のほうがオンラインゲームの市場規模が大きいので,日本は重視されていないのでは?」というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが,まったくそんなことはありません。日本のプレイヤーさんは世界的に見てもゲームに対して大変厳しい目を持っていますので,皆さんの意見がこれまでアラド戦記全体に与えてきた影響はとても大きいのです。開発だけでなくサービスにおいても,プレイする皆さんのことを第一に考えて進めていこうと思っていますので,バグなど不便な点においても,目に見える部分見えない部分を含め,できる限りの努力をしていることをご理解ください。今後も色々なご意見,叱咤激励をいただければと思っています。
4Gamer:
ありがとうございました。
インタビュー前には明確な返答がもらえない可能性も考えていたが,いい意味で予想外に,はっきりした答えをもらうことができた。だが本作の現役プレイヤーとしては,まだほかにも改善してもらいたいと思う点はある。開発チームにはさらに力を尽くして問題の改善に当たってもらいたいと思う次第だ。
ともあれ,さまざまな改良や追加を含んだ,今回の“セカンドインパクト”アップデートが,アラド戦記のプレイヤーにとって心待ちにしていたものであることに変わりはない。アップデート実装は11月24日の予定となっている。残りの数日を期待しつつ待とう。
PR